庖丁とは
庖丁とは、食材を“切る”ための道具。
毎日の食卓を支え、心と体の健康、食べる幸せ、つくる喜びに直結する存在です。
どんな包丁を選ぶかによって、調理の効率だけでなく、料理の仕上がりや味、
さらには使い手のテンションやその日の気分まで変わることがあります。
また、包丁はその人の趣味嗜好や暮らし方をさりげなく表現するアイテムでもあります。
かつて日本では「刃物は贈り物に向かない」とされる風潮もありました。
しかし近年は“未来を切り拓く”という縁起の良さから、
結婚や就職、新築・引越しといった新生活のお祝いの品として選ばれる機会が増えています。
日本の包丁は、国内外問わず高い評価をいただいています。
国内外で形状の違いはさほどない反面、鋼材選びや複層構造、焼入れ・研磨などの技術によって、
世界に類を見ない鋭い切れ味を実現します。
そのため、海外観光客の方々にもお土産として人気があり、
タダフサ(新潟県三条市)にも多くのインバウンドのお客様が訪れています。
包丁を選ぶポイントは人それぞれですが、基本となるのは次の3つです。
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切れ味(初期の鋭さ〜持続性/再現性)
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耐食性(錆びにくさ)
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メンテナンス性(研ぎやすさ・扱いやすさ)
もちろん、デザインや価格も大切な要素です。
タダフサの包丁は、社内専属職人による一環製造。
一丁ずつ丁寧に手作業で切れ味検品を行い、品質を確かめてからお届けしています。
昔ながらの製造工程を経た刃(blade)に、
天然木を用いた木柄(wood handle)というシンプルデザイン。
煌びやかな装飾よりも、毎日の使いやすさと日用品としての馴染みやすさを大切にしています。
そのため、本格品質を保ちながら、無理なく選べる価格 を実現しています。
最初の一本として、また長く使い続ける一本として、末永くお使いいただける包丁です。
研ぎ直しや修理についても、どうぞお気軽にご相談ください。
■鋼について
庖丁の切れ味や研ぎやすさを左右する大きな要因は、鋼の種類と焼入れの加減です。
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「白紙鋼」は日立金属が作る特殊な鋼で、砂鉄系の原料から作り、さらに不純物を少なくした炭素鋼です。庖丁やナタ、その他の多くの刃物に使われている一般的な鋼ですが、その品質は高く、不純物が少ないほど焼き入れの温度管理が難しく、熟練が必要になります。
青鋼に比べ刃を研ぎやすく切れ味が鋭いので、職人さんの中でも人気が高く、一般のご家庭でも扱いやすいかと思います。
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「青紙鋼」は日立金属が作る特殊な鋼で、白紙にクロム(靱性と焼き入れ性を増す)とタングステン(耐摩耗性を増す)を加えた高級鋼です。とても高い硬度を誇り長切れします。この鋼で造られた刃物は硬度が高いため(HRC60以上)、素人は刃が研ぎにくい感がありますが、刃が固く、切れ味が持続する物が多くなります。黄紙や白紙に比べて価格は高く、高級ナイフなどに用いられます。
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SLD鋼は、ステンレス並みのクロームと多くの炭素やモリブデンバナジュウム等を含んでいます。そのため炭素鋼(白紙鋼・青紙鋼)の様に錆びることはありません。(全く錆びないという事はありません)
硬くて粘りがある特殊合金鋼なので、よく切れ、切れ味も長持ちします。
■タダフサ独自の柄(ハンドル)について
タダフサでは、さまざまなタイプの柄を採用していますが、最も特徴的な素材は、「抗菌炭化木」です。
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庖丁のハンドルやまな板には弊社の特許技術から生まれた抗菌炭化木を使用してます。(特許4029427号)
抗菌炭化木とは木材を炉の中で燻製状態にし、炭の一歩手前の状態にした木材です。木材に菌が付着した際に栄養分となる水分や栄養がほとんどなく、菌が繁殖出来なくなり死滅してしまう木材です。
完全に焼いてしまうと炭になりもろくなってしまいますが、半炭化状態なので木材そのものが持つ質感も残っています。
■庖丁の分類について
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全鋼の「本焼き」、軟鉄の地金に鋼を貼り合せた「合わせ(霞と呼ぶこともある)」があります。また、和包丁は鋲などを使わず中子を柄に差し込んでいるため、柄の交換が容易です。片刃と両刃の物がありますが、片刃の方が種類が多く、右利き用・左利き用の区別があります。
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刃については、最近は中に鋼が入った3層構造のものも多くなりましたが、基本的には全鋼で両刃の庖丁が多いです。また、洋庖丁は中子を挟み込んで鋲打ちや接着剤で留めているものが多いため、柄の交換が困難です。オールステンレス(ハンドルまでステンレス)の物も洋庖丁のジャンルに入ります。
■庖丁の構造について
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和庖丁に多く、用途によって様々な種類があります。日本料理などで専門的に使われる庖丁で、表から刃が研がれており、裏には窪みがあります。上から見た時に右側に刃がついているものが右利き用、左側に刃がついているものが左利き用です。
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三徳庖丁・菜切庖丁・ペティナイフなどに代表されるように、ご家庭で一番多く使用されている庖丁です。表と裏、両方から同じ様に研がれており、刃が中心にあります。
■庖丁の種類について
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タダフサのパン切り庖丁は「波刃だけではない」パン切り庖丁です。切れ味が鋭く、パンの切り口がなめらかでパンくずがほとんど出ません。柔らかいパンはつぶさずにすんなり、皮が硬いパンも、先端部の波刃できっかけをつくることですっと切れます。従来の波刃のパン切りと違い、研ぎ直しをしてご使用出来ます。
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肉・魚・野菜の調理に使用できることから「三徳」と呼ばれている庖丁です。先が尖っているので幅広い用途があり、ご家庭で一番多く使われている庖丁です。
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その名の通り、野菜を切るための庖丁です。刃は水平で幅が広いので、白菜などのカサのある野菜を切ったり皮をむいたりするのに便利です。アゴの丸いのが「東型」、角ばったのが「西型」です。刃渡りは15㎝~17㎝が一般的です。
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「ペティ」とは小さいと言う意味で、ジャガイモや人参の面取り、野菜の飾り切りなど、大きな庖丁では面倒な細工もこのペティナイフがあれば簡単にできます。
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ヨーロッパから伝わった庖丁(洋庖丁)で、真直ぐに切り込むのに都合よく肉以外にも野菜を刻んだり、小魚をさばいたり、お刺身を引くこともできます。刃渡りが長いので大きな野菜やスイカなどを切るのに適しています。
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魚をさばく時に使用する庖丁です。峰が厚くてがっしりした印象で、なんでもザクザクと切れてしまいそうですが、刃の作りはとても薄く、しかも片刃ですので、乱暴に叩き切りしたりすると刃コボレします。このような場合は、峰に手をそえてグッと押すように切る事をお勧めします。刃渡りは、15㎝あればたいていの魚はさばくことが出来ます。
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アジなどの小型の魚をさばく庖丁です。釣りをする方などに重宝されています。
→公式オンラインショップ<出刃/小出刃/アジ切り[右利き]>
→公式オンラインショップ<出刃/小出刃/アジ切り[左利き]>
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一般的な刺身庖丁です。刃の形状が柳の葉に似ているので柳刃とも呼ばれています。刃の長さを利用してスーッと引くように切りますので、少なくとも刃渡り20cmは必要です。

